【問】

①組合の借入金、買掛金等の対外債務に対する組合員の負うべき責任の限度については中小企業等協同組合法(以下「組合法」という。)第10条の出資額を限度とする有限責任は絶対的なものなのですか。 例えば、総会において各自の出資金以上の金額を負担すべきことを決議した場合、あるいは、組合員のある特定の者を指名して負担せしめることを決議した場合等、この決議は有効ですか。

②上に関して貸付金、売掛金等の未回収のため、借入金等の返済不能を生じた場合、責任は誰が負い債券の追求はどこまで及ぶのですか。

③赤字累積による精算の場合はどうですか。

【答】

 ①組合がその事業の遂行上、第三者と取引をし、借入金、買掛金等の債務を負い、かつ、その弁済が不能となった場合において、組合員が負うべき責任は、その出資額を限度とし、総会その他の決議をもってしても、これを超える責任を負わせることはできないものと解すべきです。
なお、組合が借り入れた資金を組合員に貸し付けて場合、組合が共同購買をした物品を組合員に販売した場合等において生じた組合と組合員間の債権債務関係については、出資とは関係なく、組合に対して債務を負っている組合員は弁済の責めに任じなければなりません。
また、組合の第三者に対する債務について全部または一部の組合員が組合のために連帯して保証をしている場合、その保証をした組合員は、個人的に無限の責任を負うことになります。

②したがって、設問のごとく組合員に対して出資額以上の責任を負わせること、組合の債務につき、特定の組合員を指名して弁済の責めに任じさせること等を総会において決議し、決議なる故をもって負担させることは法令違反であるから無効です。

③組合財産をもって債務を完済するに足りない場合において、解散をし、又は破産の宣告を受けたときでも、組合員の責任は、上述の組合の場合と同様です。 なお、本問のごとき事例も、総会の決議である旨をもって組合員に限度額以上の出損を強制することはできないが、自主的意思によって負担しようとすることを阻止するものではありません。

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