【答】
ポイント★理事は、正規理事と員外理事の二種類 ★組合員企業の役員は正規理事
営業部長が代わりに理事会に出ることは違法です。A個人が組合と委任契約を結んでいるので、他人が理事会に出ることはできません。解決策としては、営業部長を理事に選出する方法、A社長が書面出席する方法、がありますが、毎回書面出席になるなら営業部長を理事にする方法がよいでしょう。
理事については、組合員に限定するか、組合員外の理事を認めるかで次の①、②のケースがあります。
組合員に限定しているケース
組合員が会社なら会社の役員(取締役・監査役等)が組合の理事になれます。個人事業者なら代表者だけが理事になれます。このように組合員から選ばれている理事を「正規理事」といいます。
②組合員に限定していないケース
親会社の社員や専従の事務局長など組合員以外の者も理事総数の三分の一まで理事に選ぶことができます。これらの理事を「員外理事」といいます。「員外理事」を置く目的は、広く外部の意見を聞くため、組合の業務に専従している者を理事にするためなどです。
営業部長のケース
さて、設問の組合員企業の営業部長のケースを考えてみます。この営業部長が取締役の身分を持つならば①のケースに該当しますから、総会で理事に選出すれば問題は解決します。取締役身分を持たない従業員ならば、員外理事にすることを検討します。組合員企業から選ばれていながら組合員外の理事というのは妙な扱いですが、組合員企業の従業員は員外理事の扱いになります。法律の解釈が正規理事と員外理事の境目を、組合員企業の「役員である・なし」のところに置いているからです。会社の役員ではない営業部長は員外理事になるしかないのです。
組合の定款に、員外理事の規定を入れて、この営業部長を理事に選出すれば、法的な問題は解決します。
最近「役員」の解釈が難しくなってきました。執行役員制を導入する会社が増えたり、委員会設置会社の制度が設けられたり、さまざまな動きがあるからです。
基本的に株式会社の「取締役・監査役」、特例有限会社の「取締役」、合名会社の「業務執行社員」、合資会社の「無限責任社員」と「業務執行権をもつ有限責任社員」、合同会社の「業務執行社員」が、正規理事に就任できると理解しておけばよいでしょう。
(中小企業組合理事のためのQ&A/清水透著・2010年5月(新訂)第1版第1刷発行より転載)
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