【問】
総会と理事会の関係、理事会と理事長の関係、理事長と理事の関係はどうなっているか |
【答】
ポイント★基本的に理事会は総会の決定に従う総会は、組合員全員によって構成され、定足数を満たしたうえで組合の基本的なことを決定する最高意思決定機関です。定款・規約、役員、決算、事業計画・収支予算、組合員の除名などは総会の議決事項です。 総会と理事会理事会は総会の決定に基づき、組合の業務執行を決定します。事業の手数料の最高限度を総会で決め、実際の額・率はそのときの経営環境を勘案して理事会で決定します。理事会は総会の決定に逆らうことはできません。 しかし、総会の決定を無視して、理事会で決めてよい事柄もあります。それは、理事長の選任・解任です。総会で理事長を決めることはできず、理事会で決めなければなりません。総会と理事会は、基本的に総会が上位になりますが、役割分担の側面もあるといえます。現実の裁判で、総会と理事会の権限が争われたことがあります(※)。総会が理事会での理事長の選出方法を「無記名投票」と指定したのです。理事会はこれを無視し「起立」で選出しました。 なぜ、総会は理事会の議決方法を「無記名投票にせよ」と指図したのでしょう。従来からの方法である「起立」だと、新理事長に対する賛成・反対が明確になり自由な意思表示ができないというのがその理由でした。 もっともな理由ですが、裁判所は、「定款で組合の機関として理事会が設けられ、これに一定の権限を与えていることからいって、採決方法は理事会が自主的に決定すべきもの…」と判示し総会の決議を無効としました。 総会と理事会の役割分担を鮮明に打ち出した判決といえます。理事長の選任・解任は理事会に与えられた固有の権限なので、総会といえでも介入はできないのです。 理事会・理事長・理事理事長は、理事会の決定に拘束されながら、実際の業務を行います。理事会の決定に逆らうことはできないので、理事長は理事会の下部機関ということになります。 しかし、業務執行のたびに理事会を開催することはできないので、理事会は一定の枠を決めます。実務的にはその枠の中で理事長が業務を進めます。 理事長の業務執行について、理事には監視責任があります。監視責任の究極の手段として理事会に理事長の解任権が与えられているという関係になっています。 (※)静岡地裁平成二年六月二六日判決 判例時報一三六七号 八五頁 (中小企業組合理事のためのQ&A/清水透著・2010年5月(新訂)第1版第1刷発行より転載) |
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