テーマ : 柏駅前通りハウディモールの将来ビジョンと街路等整備について

補助事業名 平成28年度連携組織活性化研究会
対象組合等 柏駅前通り商店街振興組合
  ▼組合データ
  理事長 金子 秀雄
  住 所 千葉県柏市柏3-7-21 椎名ビル507号
  設 立 昭和58年11月
  業 種 小売業、飲食店中心の異業種
  会 員 82人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡ 043-306-3284)
専門家 松清 智洋(中心市街地商業活性化アドバイザー、柏市民協働支援員)

背景と目的

 ①取り巻く環境の変化
 柏駅前通り商店街ハウディモールは、千葉県北西部・茨城県南西部・埼玉県東部を含む約200万の商圏を持つ柏駅周辺商業地域の目抜き通りに位置します。この柏駅周辺商業地域は、百貨店、生鮮食料品等を扱うスーパーや専門店等が立地する商店街、そして古着屋やカフェ、美容室などが集積するエリアが共存する多世代型の商業地として県内でも有数の賑わいをみせています。

柏駅前通り商店街ハウディモール

 しかし、つくばエクスプレスの開業による柏駅の乗降客数の減少や、近隣地域に大規模商業施設が次々と出店したことにより、商圏の吸引人口は大幅に減少しています。柏駅周辺商業の置かれている状況は日々厳しさを増しており、ハウディモールとしても、現在でこそまだ空き店舗も少なく多くの来街者がありますが、歩行者通行量の減少は顕著で、今後も現在の賑わいを維持していくには場当たり的な対策ではなく、長期的なビジョンに基づき商店街の活性化に取り組んでいくことが必要であると認識しています。
② 柏駅周辺まちづくり10カ年計画
 柏市は、平成27年に柏駅周辺商業地域が今後も広域商業拠点として持続的に発展していくための「柏駅周辺まちづくり10カ年計画」を策定しました。この計画では、柏駅周辺で多様な人たちが安心して歩いて楽しめる品格のあるまちづくりを推進し、その中でハウディモールを柏駅東口のメインストリートとして、歩行者を優先した道路ネットワークの中心軸として歩行者専用道路化することが示されました。
 ハウディモールは現在でも日曜祝日には歩行者天国が実施されており、天気のいい日には多くの家族客が買い物を楽しむ様子も見られますが、平日は幅員4mの歩道(街路樹などがあり実質的に3m程度)を多くの人が通行するため、落ち着いて買い物を楽しむ環境とは言えない状況です。

柏駅周辺まちづくり10カ年計画整備計画図

③活性化研究会の目的
 そこで、柏駅前通り商店街振興組合理事会では、市が示した終日歩行者専用道路化の方針について、それが柏駅周辺商業地域全体に寄与すると同時に、今後のハウディモールの将来ビジョンにも大きく影響するものであり、また、ハウディモールの沿道建物の再整備の契機とすることができるのではないかと考え、組合としてその可能性について検討し活用していくことを目的とした活性化研究会を立ち上げました。

事業の活動内容

 活性化研究会は、組合員や行政職員など柏駅前通り商店街関係者が参加し、全4回実施しました。そこでは主に、ハウディモールの将来像、終日歩行者専用道路化のメリット・デメリット、及び街路整備と合わせた沿道建築物等の整備について検討しました。

研究会の様子

①ハウディモールの将来像
 ハウディモールの目指すべき将来像を「高齢化に対応し、現顧客層を大切にしつつも、主に30〜40歳代の人たちが気軽に買い物をしたり遊んだりできる、日常的に来たいと思えるにぎわいと活気のある商店街」とし、来街者の滞留時間を長くして買い物しやすい環境を実現するために、街路と沿道建物の整備によるバリアフリー化と、魅力ある買い物空間の創出を進めていきます。
② 終日歩行者専用道路化の課題の整理
 終日歩行者専用道路化にあたり、課題としてまず挙げられるのは荷捌き等業務車両への対応です。現状ハウディモールには、時間の制約なく多くの荷捌き車両が出入りしていますが、これらを具体的にどうコントロールしていくのか、事例をいくつか検討し意見交換しました。また、一般車両の駐車場や自転車駐輪対策も、これは現在でも課題となっていますが、改めて検討しました。
③街路整備と合わせた沿道修景
 街路整備だけではハウディモールの将来ビジョンを実現することはできません。沿道の建築物も一部老朽化が進み、店舗としての有効利用が難しく、建て替えの必要性が高くなっています。また、屋外広告物に関しては条例による規制はあるもののその範囲で自由に設置できるため、ハウディモールの景観上の課題となっています。これらの課題にも同時に取り組むことが必要です。
 街路整備は行政が中心となって進めていきますが、組合も連携して取り組まなければなりません。そして、特に老朽化した建築物と屋外広告物の対策については、組合が主導してハウディモール全体の課題として取り組むことが必要であることを確認し、研究会では特に屋外広告物のあり方について検討しました。

 事業の成果と今後の課題

 研究会で検討された課題については、まだ結論には至っていません。今後も継続して検討していく必要があります。そもそも終日歩行者専用道路化が本当にハウディモールにメリットがあるのかということに対しても様々な意見があります。このような関係者が様々な意見を出し合い意見交換する場を設けることで、より深い合意形成を図ることができます。あまり検討ばかりに時間をかけている余裕はありませんが、今後より多くの関係者が納得し協力していくためには必要なプロセスです。そのような場を設けることができたこと、そして、各地の先進事例を知ることでハウディモールの将来ビジョンのイメージを関係者間で共有することができたことは大きな成果であると考えています。一方で、このような検討がされていることが組合員に対して十分周知されているとは言えない状況もあります。研究会では関心の低い組合員への周知と参加が今後の課題となりました。
 いまだに人口は増加しているものの、柏市においても少子高齢化の影響は顕在化しており、また、研究会の実施期間中に柏駅前の百貨店の一つが閉店するなど、ハウディモールを取り巻く環境は日々変わっています。街路整備については行政と連携し、沿道の整備については組合が主導して、速やかに将来ビジョンを実現していく体制をつくり実施していかなければなりません。今後も多方面の支援を得ながら取り組んでいきたいと思います。

(松清 智洋)


『中小企業ちば』平成29年8月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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