テーマ :組合員の現状把握と組合の課題抽出について

補助事業名 平成23年度連携組織活性化研究会
対象組合等 千葉県税理士協同組合
  ▼組合データ
  理事長 仲野 進
  住 所 千葉市中央区中央港 1-16-12
  設 立 平成17年3月
  業 種 税理士事務所
  会 員 1,980名(平成23年6月現在)
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(℡043-306-3284)
専門家 有限会社バリュー・コンサルティング 代表取締役 安藤 孝(中小企業診断士)

背景と目的

  千葉県税理士協同組合は千葉県内に税理士事務所を有する小規模の事業者(開業税理士・税理士法人)を組合員とする協同組合である。平成17年に設立され、平成23年には、7年目を迎えた。
  協同組合の加入者数は1980名、また組合加入率は約9割という高い組織率であり、順調に成長し、組合活動の基盤は強固なものとなっている。加えて、千葉県中小企業団体中央会の「平成21年度モデル組合」に指定され、内外から高い評価を得ている。
  今回、組合活動の更なる発展を目指して、現在の組合活動の状況を振り返り、組合員の組合活動への参加状況、組合事業の認知度を確認し、将来にわたっての組合員のニーズを把握するため、意識調査を実施することとした。
  税理士業界を取り巻く環境は、関与先である中小企業の経営環境の悪化、税理士数の増加に伴い事務所間の競争が激化するなど厳しさを増している。また、顧客からは税務だけでなく、経営全般のアドバイスが求められ、経営コンサ背景と目的ルタントの要素も必要になり、業務は高度化、複雑化している。
  今回の組合員の意識調査を行うことにより、組合が本当に組合員のニーズに応えられているか否かを客観的に把握する。この調査結果から現状の組合の課題を抽出し、今後実施すべき対策を検討するための情報を得ることが、事業の目的である。

事業の活動内容


①研究会の構成と活動

当組合には総務部、経理部、購買・開発部、教育研修・情報部、共済部、全税共事業推進部、厚生部、松戸出張所の各部門があり、それぞれ事業を推進している。
  24-11-1○今回の研究会のメンバーは副理事長、専務理事、総務部長、総務副部長、事務局長の計7名で構成し、平成23年8月から開始し、計4回の検討会が行われた。研究会の概要は次の通りである。
  ①第1回 平成23年8月9日
  研究会の目的、アンケート調査項目の方向性
  ②第2回 平成23年9月5日
  アンケート項目の検討
  (アンケートの実施)
  ③第3回 平成23年11月2日
  アンケート集計についての評価
  ④第4回 平成23年12月5日
  取りまとめ、報告書作成


②アンケート調査の目的と調査項目の検討

1.調査項目設定の考え方
  今回のアンケート調査の目的が組合員の組合活動に対する認知度の調査であることから、以下の3つの側面から調査項目を設定した。
  (1)組合事業の利用、参加状況の把握
  組合主催の研修会への参加状況、厚生事業の利用状況など組合が実施している事業活動の利用状況、参加状況を把握するための調査項目。
  (2)組合事業の認知度把握
  教育情報費、支所運営費の支援や配分方法、ホームページなどの認知度に関する調査項目。
  (3)組合事業の課題、組合員のニーズの把握
  研修会不参加理由、研修会内容や参加費に関する事項、今後希望する厚生事業、保険代理店の課題など組合事業の課題や今後の希望に関する調査項目。
  2.調査項目の概要
  前記のアンケート項目の3つの側面に添って、組合が現在実施している事業について、以下の具体的なアンケート項目を作成した。
  (1)教育研修事業(6項目)
  (2)購買、斡旋事業(3項目)
  (3)保険事業(3項目)
  (4)厚生事業(4項目)
  (5)教育情報提供事業(2項目)
  (6)その他(5項目)
  計23項目


③各支所総代等128名へのアンケート調査及び分析

 当組合は千葉県内を14の支所に分けて運営されている。今回のアンケート調査対象は各支所の総代、支所長等128名とした。アンケートは原則記名方式(無記名も可)である。
  また、アンケートは郵送方式で各支所に配布し、記入して頂く方法とし、アンケートの回収はFAX又は郵送で組合へ直接返送する方法とした。アンケート票は平成23年9月5日に発送し、記入期間4週間を取り、9月末までに回収した。アンケートは117人から回収され、回収率は91.4%であった。
  アンケートは選択方式のほかに、自由回答を設けた。約80に及ぶ自由回答が得られた。
  その後、アンケート集計を行い、その結果について研究会メンバーで分析を行った。

事業の成果

  今回の事業は今後の方向性を検討するための現状把握が主目的であり、その目的は十分達成したと考える。更に、アンケート調査により組合員のニーズが明確になり、今後、組合が何を検討すべきか、何に重点を置けば組合員の認知度が高まるか、についての方向性は見えてきたと思う。例えば、千葉県税理士会を経由して間接的に支出している支援資金については比較的認知度が低いことが判明したので、これらに関するPR活動を強化する必要があることなどが挙げられる。

今後の展望・期待

  アンケート調査結果及びその後の研究会での討議を通して以下の意見が出た。今回は総務部を中心とした研究会であり、今回の検討結果を踏まえて、各事業部が具体化し、実施に移されることになる。
(1)教育研修事業
  研修はテーマが重要であり、税理士に求められている業務範囲の拡大に対応するため、税務関係に限定せず、幅広い分野の内容を検討する。また、組合員事業所の職員研修は各支所で実施していることもあるが、組合全体としての方向性を検討する。
(2)購買斡旋事業
  組合員が旅館・ホテルなどの斡旋事業を利用する場合の利用手続きを明確にし、組合員に周知する。集団扱い損害保険、あんしん財団共済、団体定期保険などは引き続き各支部及び新規加入組合員へのPRを行う。
(3)保険事業
  保険事業を推進するため、保険活用の必要性をPRする。
(4)厚生事業
  ホテル、旅館は提携先の地域範囲を広げることを検討する(全国を対象にする)。また、参加人数が減少傾向にある囲碁・将棋大会はFAX等で直接参加者を募集するなど参加者を増やす方法を検討する。
(5)教育情報費の認知度
  千葉県税理士会への支援などについて判りやすいパンフレットを作成してPRを行う。また、千葉県税理士会を通しての間接的な還元では認知しにくいので、他県の組合の還元方法も調査し、直接的に還元ができる方法も検討する。
(6)ホームページの改訂
  研修会の案内はホームページに載せているが、今後は参加申し込みをホームページからできるように改善するなど、活用促進を図る。他のWEBサイトからのリンクも併せて検討する。(安藤 孝)


『中小企業ちば』平成24年11月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)