テーマ :茂原卸商業団地協同組合活性化プロジェクト
補助事業名 | 平成23年度組合後継者等育成事業(青年部交流会) | |
対象組合等 | 茂原卸商業団地協同組合 | |
▼組合データ | ||
理事長 | 秋葉 吉秋 | |
住 所 | 茂原市小林 1978-8 | |
設 立 | 昭和51年3月 | |
業 種 | 卸売業中心の異業種 | |
会 員 | 23名 | |
担当部署 | 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(TEL:043-306-2427) | |
専門家 | かちどき特許事務所 髙橋 幸夫(弁理士) |
背景と目的
茂原卸商業団地協同組合では、組合の愛称を決定し、その決定した愛称を組合員が使用することにより、一般消費者に浸透させ、組合の魅力をより多くの人に伝えると共に、組合のイメージアップを図って、組合を活性化させるという「愛称プロジェクト」が、青年部から持ち上がりました。
事業の活動内容
愛称に代表される、本名以外の名称を、宣伝等の手段を用いて、ご利用いただくお客様などに浸透させ、親しみと愛着を感じていただき、イメージアップを図る方法は、最近よく見られます。
千葉県では、千葉国体のマスコットキャラクター「チーバくん」が、国体の開催年(平成22年)に認知度と人気が急上昇し、翌年の平成23年に千葉県のマスコットとなって、千葉県のイメージアップに寄与したことは記憶に新しいと思います。茂原市においても、夏の風物詩「茂原七夕まつり」のマスコットキャラクターの愛称が公募され、「モバりん」と決まり、「茂原七夕まつり」のイメージアップの一躍を担っています。
①位置付け
注目度をより高くするため、組合の愛称プロジェクトを 周年の記念事業と位置付けました。
②愛称選出方法の決定
愛称選出方法としては、大別すると、「ブレーンストーミング」と「公募」に分けられます。専門家が両者の利点と欠点を説明した後、いずれの方法を採用するのか、青年部で検討していただきました。
その結果、組合を構成する会社の社員や関係者には、組合の愛称についてより強い関心を持ってもらい、一般消費者には、組合の愛称がPRしやすくなるという観点から、愛称募集(公募)という手法を採用することに決まりました。
③企画会議(企画段階)
組合の愛称プロジェクトの内容を明確にするため、プロジェクト全体を「企画段階」と「募集段階」と「審査段階」の三つの段階に分けました。
青年部の会合で、専門家が、三つの段階のそれぞれについて、以下の事項について説明した後、青年部の部員からの質問に回答して、プロジェクトの内容を明確にしました。
イ.企画段階については、愛称募集の募集期間、募集方法、応募回数、募集要項、当選者の賞品の額と人数、留意事項、注意事項等
ロ.募集段階については、募集要項(パンフレット)の配布時期と枚数、広報活動の方法等
ハ.審査段階については、審査方法、審査員の公表、当選者の決定方法等
④愛称募集の事前準備(企画段階)
募集期間は、愛称を考える時間を比較的に確保しやすい正月休みを含み、公報もばらの掲載回数を考慮して、平成24年1月1日~2月29日の二ヶ月間としました。
募集方法は、愛称を応募しやすくするため、FAX、メール、葉書、持参のいずれも可能にしました。
応募回数は、応募総数を増やすため、一人の応募回数に制限を設けず、何度でも応募することを可能としました。
当選者の賞品は、応募意欲を掻き立てるため、最優秀賞:五万円1名、参加賞:三千円相当の商品20名とし、この規模の愛称募集としては、多めにしました。
青年部が作成した愛称募集の募集要項(パンフレット・Web)は、専門家が、細部を検討して、コメントと添削を行い、より有効かつ効果的なものとしました。
⑤愛称募集(募集段階)
二ヶ月間の募集で、予想を上回る443件の愛称が集まりました。応募者の住所は、茂原市内が約5割、千葉県内(茂原市を除く)が約2割、残りは、北海道から沖縄までの幅広い範囲に分布していました。一人で80件近くの応募を行った猛者もいました。
⑥愛称選出(審査段階)
愛称選出候補となる443件を全て読み上げ、ポストイット1枚に一つの愛称を記入し、一軍、二軍、三軍の三種類に分類しました。一軍から三軍までの分類分けが終了した後、一軍、二軍を再度検討し、約10個の愛称を選定しました。
選定した約10個の愛称は、「卸(オロシ)」という言葉が含まれているものと、「茂原」という地名又は「茂原」という地名を想起する「モバ」という言葉が含まれているものの二種類に分類できました。
選定した約10個の愛称に関し、抵触する権利がないかどうかについて、特許電子図書館(IPDL)を用いて商標調査を行い、商標登録の可能性についての簡易的な評価をしました。
⑦愛称決定(審査段階)
選定した約10個の愛称について、青年部と組合の両者で更に検討を重ね、組合の愛称を「もばらオロシティ」と決定しました。
決定した愛称は、組合のホームページ等に掲載して、告知をしました。
事業の成果
決定した愛称「もばらオロシティ」は、「茂原」という地名と「卸」という言葉が含まれているため、組合の愛称として好適であり、イメージアップを図るツールとしても優れていると考えられます。
「オロシティ」について、インターネットで検索をしたところ、鹿児島総合卸商業団地協同組合が「オロシティー」を使用していることがわかりました。念のため、鹿児島総合卸商業団地協同組合に「もばらオロシティ」の使用及び商標登録に関する問い合わせを行いました。しばらくして、鹿児島総合卸商業団地協同組合から、「茂原卸商業団地協同組合が「もばらオロシティ」を使用し、かつ商標登録することについて問題はない。」という回答をいただきました。
「もばらオロシティ」については、小売等役務商標制度を利用して、組合員の取り扱う商品を網羅する範囲で商標登録出願を行いました。審査官から「指定した小売等役務のいずれにも使用しているか又は近い将来使用することについて疑義がある。」という拒絶理由通知をいただきましたが、証拠書類を添えて意見書で反論したところ、登録査定となり、登録料を納付して、商標登録が完了しました。
今後の展望・期待
決定した愛称「もばらオロシティ」が価値を生み出すかどうかは、組合の今後の広報活動に依存します。「もばらオロシティ」を商標登録したことによって、「もばらオロシティ」の独占的な使用は確保されますが、組合のイメージアップ等の保証はありません。宣伝等の手段を用いて「もばらオロシティ」の露出度を如何に高めるかがポイントであり、組合をご利用いただくお客様などに「もばらオロシティ」を浸透させ、親しみと愛着を感じていただくかが重要であると思います。
茂原卸商業団地協同組合(もばらオロシティ)の益々の発展を期待します。
(髙橋 幸夫)
『中小企業ちば』平成24年12月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)