テーマ : 組合ブランド商品の開発検討について

補助事業名 平成27年度連携組織活性化研究会
対象組合等 千葉県貿易協同組合
  ▼組合データ
  理事長 越部  圓
  住 所 千葉市美浜区中瀬2-6-1WBGマリブイースト23F
  設 立 昭和35年2月
  業 種 貿易関連企業中心の異業種
  会 員 46人
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 工業連携支援部(℡ 043-306-2427)
専門家 (有)バリュー・コンサルティング 代表取締役 安藤 孝

背景と目的

組合が成田空港で運営する「ちばぼうきょう」

組合が成田空港で運営する「ちばぼうきょう」

 千葉県貿易協同組合は、共同販売事業を組合事業の柱とし、成田空港内に有する2つの直営店舗を通じて、組合員の取扱商品を販売している。
 しかし、同事業は、成田空港の旅客数の影響を受けやすく、アメリカ同時多発テロやリーマンショック、東日本大震災の際に、その売上を大きく減らした。さらに、長期的には、羽田空港の国際化に伴う成田空港の地位低下が懸念されている。
 こういった状況に鑑み、組合求心力の向上と共同販売事業の強化の観点から、組合員が取り扱う商品の海外販路開拓を企図することとなった。海外展開にあたっては、その訴求力において、組合員が個々に取り組むよりも、組合独自のブランドを立ち上げ、その名の下に商品群をパッケージ化していくことが、有利であるとの結論に至った。
 そして、平成25年より、「COTCA」(本組合の英文名:Chiba OverseasTrade Cooperativeの略)ブランドの展開が始まり、以後、JAPANブランド育成支援事業(中小企業庁の助成事業)を活用してブランドロゴの作成や海外展示会の視察などを行いブランドの構築を行ってきた。今般、更にブランド力を強化するために以下2点を検討することとした。
・異業種組合が求心力を持ってブランド展開するために、ロゴ以外にアピール力のある強力なコンセプトを構築する。
・当初よりの目標であるブランドオリジナル商品の開発を検討する。
 これらの検討にあたり、千葉県中央会の助成事業である連携組織活性化研究会を活用した。

事業の活動内容

①ブランドコンセプトの検討

 ブランドオリジナル商品の開発の前段として、ブランドコンセプトの確立が課題となった。研究会では様々な意見が出されたが、最終的に「組合員が千葉県内で生産・販売している商品や地域資源商品で構成する組合ブランド」をコンセプトとすることとなった。これは本組合が、千葉県を地区とし、異業種の組合であることに鑑みてのものである。

②ブランドオリジナル商品の開発

 「COTCA」ブランドロゴ

「COTCA」ブランドロゴ

 ブランドコンセプトの決定に続いて、研究会ではブランドオリジナル商品の開発について検討することとなった。前述のとおり、本組合は異業種組合であり、その取扱商品は多岐にわたる。したがって、ブランドを構成する商品群も様々なジャンルのものがあることから、ブランドの看板となるオリジナル商品が必要となった。
 オリジナル商品は、ブランドコンセプトで規定されたように千葉県の地域資源商品でなければならず、その候補として挙げられたのは落花生であった。
 千葉県は農産物出荷高において全国第3位(平成25年)の豊かな農業県であり、その代表的産品である落花生は、オリジナル商品の素材として最適であった。
 また、本組合の構成員には、落花生の加工・販売を行う企業がある。加えて、飲食、香料、菓子等の企業も構成員であることから、これらの企業が連携し、各社の技術・設備・ノウハウを結集することで落花生を用いた新たな商品開発を行うことが研究会で決定さ
れた。

事業の成果

 研究会は平成28年2月に終了したが、そこで決定された新商品開発は、その後も組合主導で進められ、組合構成員企業各社が連携し、数種類のサンプル品を完成させるに至っている。
 これらサンプル品は、「COTCA」ブランドの中核商品となるものであり、今後、空港店舗での販売や海外販売を視野に展開を進めていく。

201609-3

Thailand Retail Food &Hospitality Services 2016」の様子

 また、今回の研究会の成果として、平成27年度補正ふるさと名物応援事業補助金(JAPANブランド育成支援事業)に応募し、その採択を受けることができた。この補助金を活用し、本年8月に行われたタイの食品展示会「T h a i l a n d R e t a i l F o o d &Hospitality Services 2016」に出品した。これに続けて本年10月にシンガポールでの「FOODJAPAN 2016」への出展も予定している。

今後の事業展開・展望

 タイの展示会においては、従来から開発してきたサンプル品など約10種類を展示し、その反応や改善点を把握することとしている。並行して、組合員企業連携による落花生を使った「COTCA」ブランド新商品の開発し、シンガポールにおいては拡大した商品を展示する予定である。これらの商品群はブランド確立段階において3年間にわたり補助金を受けることができる「JAPANブランド育成支援事業」の2年目以降へつなげていくこととしている。
 今後は同支援事業を活用し、「COTCA」ブランドの認知度・信用力の向上させることにより、組合員の取り扱う、食品・雑貨・工業用品・技術等の分野の商品やサービスをブランド内に順次組み入れ、ブランドを成長させていく。新商品の組み入れに当たっては、ブランドとしての統一性・一貫性が保持できるよう、有機的な編成に努める。
 組合としては、幅広い業種の組合員が海外販路拡大の足掛かりとして、「COTCA」ブランドの中で海外販路を拡大できるよう「COTCA」ブランドの価値を高めていくことを目指している。
(安藤 孝)


『中小企業ちば』平成28年9月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)

 

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