テーマ :来街者へのヒアリングによる柏駅周辺ニーズ調査について
補助事業名 | 連携組織活性化研究会 | |
対象組合等 | 振興組合柏二番街商店会 | |
▼組合データ | ||
理事長 | 石戸 新一郎 | |
住 所 | 柏市柏1-4-5 石戸画材ビル4 F | |
設 立 | 平成3 年3 月 | |
業 種 | 商店街 | |
会 員 | 42 名 | |
担当部署 | 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(TEL 043-306-3284) | |
専門家 | 細田真一・建築・都市計画研究所 代表 細田 真一(一級建築士) |
背景と目的
柏市は、東京都心から約30キロメートル、千葉県の北西部に位置する、人口約40万人の中核市である。JR柏駅周辺地区は、日本で初となる市街地再開発事業により、再開発ビルおよび駅前のペデストリアンデッキが整備され、駅前に集積する大型店舗と、それをとりまく中小店舗によって、千葉県北部、また常磐線沿線を代表する商業地となっている。しかし、近年の郊外型大型ショッピングセンターの乱立等の要因によりその求心力は年々低下している。現在、市街地再開発事業等により、超高層マンションの建設など、中心市街地の更新を始めている段階にある。また、駅前通り等は電線の地中化が行われてはいるものの、歩行者交通量に対して歩道幅員が充分でないことに加え、地区内にオープンスペースや緑が少なく、来街者の憩いのスペースが不足している。
このような状況を受け、平成22年度、柏駅周辺地区のまちづくりビジョンを作成し、駅前公共空間の再整計画を策定することとなった。検討に当たっては、整備後の利用率を高め、整備効果を上げるため、市民及び来街者の方々のニーズを的確に把握し、計画に反映させる必要がある。
柏駅周辺ニーズ調査は、来街者に対するヒアリング調査を通じて、市民の柏駅周辺に対する潜在的なニーズを探り、より整備効果の高い計画につなげることを目的として行うものである。
柏駅周辺ニーズ調査の概要
①調査日時
・2010年10月10日
・同 10月14日
・同 10月20日 休日一日、平日二日とし、時間はそれぞれ14時から17時半まで
②調査対象者
・20代以上の男女
③調査方法
柏駅前の3か所の調査地点において、調査対象者をランダムにサンプリングし、ヒアリング方式で調査を行う。
④調査対象者の属性
・調査総数388名
(女性339名・男性49名)
(柏市内211名・柏市外164名
・不明13名)
・性別・年齢別属性は図の通り
柏駅周辺ニーズ調査の結果
① 柏駅周辺商業施設での買物頻度の変化
柏駅周辺での買い物頻度の変化について年齢別の状況を示したのが次のグラフである。これを見ると30代、40代の方が2~3年前と比較して柏駅周辺での買い物頻度が減っている割合が高いことがわかる。丁度子育て世代ということを考慮すると、車でアクセスしやすく、ベビーカー等にやさしい設計の郊外のSCが平成17年以降、多く開業したことが原因の一つであると推測される。
② 買物頻度が2~3年前と比較して減った人の「街の嫌いなところ」
2~3年前と比較して買物頻度が減った人について、「街の嫌いなところ」の回答内容を見てみる。「買い物途中で休む場所がない」、「歩道が狭く歩きにくい」、「街並みがごちゃごちゃして景観がよくない」という回答が多い。これらの市街地環境の改善は来街者の増加につながる可能性が高いといえる。
③ 柏駅周辺に欲しい施設
柏駅周辺に欲しい施設については、「買い物途中で休息できるオープンカフェ」、「緑あふれる広場空間」、「清潔な公衆トイレ」の順である。これは、街の嫌いなところの改善策と捉えると、両者の順位は概ね一致する。市内居住者に注目すると、右記に加えて「生鮮食料を扱う食品市場」、「博物館や美術館」等がこれに続く。
今後の展開
今回のニーズ調査は来街者のニーズを把握するためのものであったが、これと並行して現状課題の多角的整理、上位計画のまとめを行い柏駅周辺イメージアップ、推進協議会ブランディング委員会において、「柏駅周辺まちづくりビジョン」を策定した。これは柏駅周辺エリアのソフト、ハードのまちづくりの方向性をトータルに示すものである。今後は、このビジョンに沿って、常に『使われ方』を意識しながら、ニーズの高かった広場・オープンカフェを優先的に整備すべき施設と位置付け、先行着手していく予定である。(一級建築士 細田 真一)
『中小企業ちば』平成23年7月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)