テーマ :組合の C I 戦略について

補助事業名 平成23年度連携組織活性化研究会
対象組合等 千葉県自転車軽自動車商協同組合
  ▼組合データ
  理事長 山口 道博
  住 所 千葉市中央区赤井町 919-2
  設 立 昭和42年3月
  業 種 自動車・自転車小売業
  会 員 458名(平成23年3月末日時点)
担当部署 千葉県中小企業団体中央会 商業連携支援部(TEL043-306-3284)
専門家 諏訪山デザイン事務所 代表 諏訪山 良和

背景と目的

  千葉県自転車軽自動車商協同組合(以下組合)は、自転車等の販売及びそれに関連するサービスを業とする販売店の組合である。
  組合の歴史は古く、太平洋戦争中に国策の資源統制を目的とする自転車リヤカー商協同組合が設立、この組合を元に昭和42年に協同組合法に基づき相互扶助組織として協同組合に生まれ変わった。
  その後、昭和53年に自転車事故防止を目的とする自転車安全制度(国家資格)が制定され、昭和55年には自転車の安全性確保の為に「自転車の安全利用促進及び自転車駐車場整備」に関する法律の施行。平成6年から自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律改正、自転車の防犯登録の義務化などができ、これらの防犯や交通安全の一翼を担う形で、TSマーク制度の賠償責任保険や防犯登録等が組合の業務として加わった。
  現在、国内における自転車の保有台数は約7千万台弱(平成19年、社団法人自転車協会調べ)にも増加、すでに国民二人に一台以上の背景と目的保有数になっている。自転車の省エネ性や健康志向への関心の高まりもあり、いまだ増加の傾向にあり、自転車を取り囲む社会環境も多くの問題を抱えている。
  最近の警視庁の事故統計では自転車に起因する交通事故比率は年々増加の傾向にある。これらの原因は、人や車との通行区分が混在する道路が多く、自転車のための専用道が少ない。また夜間の無灯火走行や二人乗りといった交通マナーの問題、高性能のスポーツ自転車が増え走行スピードが早くなったことや、携帯を使用しながらの走行など、年々新しい交通安全への課題が生まれている。
  また、店が取り扱う自転車の種類も、近年の個性化や趣味の多様化に合わせ増えている。用途別にあげてもシティ型、オフロード型、クロス型、ミニベロ・折りたたみ型等あり、形や性能がそれぞれに異なる。体力がなくても長距離や坂道が楽に走れる電動機自転車も増加。他にも観光ビジネス向けであるが、エコで環境に優しく高性能なベロタクシー(自転車タクシー)、シルバー世代や身障者のための電動カーなど、新しい分野の自転車も生まれている。
  経営環境は他の小売業と同様、低価格路線をとる大型量販店が増加、地域に根ざした販売店として発展して行くため、今以上の情報発信や活動、顧客ニーズへの対応が重要な課題となっている。
  これらの対応策として、組合の活動を多くの消費者に深く理解して頂く事。そのため、今以上に親しみある自転車店とするためのイメージアップを主目的とした組合 の研究事業を行う事になった。

事業の活動内容

  23年度は戦略の導入の手始めとして、CIの考え方を学ぶため専門家を招き講習会を実施した。
  講習では 戦略を構築実施して行くにあたり、その基本とする組合の業務そしてコンセプト(理念)について改めて確認を行った。
  組合の活動内容は、共同事業として販売促進や展示会などの開催や宣伝もあるが、特に重要な事業はTSマークと防犯登録の二つの普及活動である。TSマークは道路交通法に基づき警視庁が定めた自転車の安全基準に適合する自転車であること、確認証を普及促進させる自転車安全利用促進事業であり、防犯登録は自転車盗難予防と被害者への早期回復を促進するための活動事業である。
  組合は自転車販売店のために活動すると同時に、自転車を通して、社会に役立つよう、安全で正しい自転車の普及活動にも取り組む使命を持っている。
  これらからまとめられCIコンセプト(組合活動理念)は、


1・安心・安全な自転車を販売
2・自転車を扱うプロとして活動
3・交通安全、防犯活動に協力

 これらを表出させるシンボルキャラクターについてデザインの専門家による試作を元に、今後の導入のための検討会を行った。(デザイン図案下記参照)
  次年度、正式にデザインを決めるため、今回導きだされた前述の条件等を参考に、正式に制定する際のキャラクターについて、デザインコンセプトやネーミング公募などの導入方法を検討、確認した。
  デザインコンセプト


1・デザインは、自転車を擬人化し、動的な展開が可能。
2・親しみの持てる優しいイメージのキャラクター。
3・近年流行の着ぐるみ的な展開ができる。

24-09-3

事業の成果

  地域の防犯や交通安全の活動に積極的に係る事で、全国組織の大型量販店との差別化をめざす。
  そのため、地域でいわば「自転車のコンシェルジュ」として、消費者と顔の見えるコミュニケーション力を強化し、自転車のA~Zまでフォローできるよう、新製品や新しい生活提案力もある店をめざしていく必要性を再認識した。
  そのための手段として情報発信を重視、従来以上にホームページを使ったPR活動を進める。特に組合内部向けから消費者に向けた情報内容を強化する。
  今後、特に充実させる内容として、「街の自転車屋さんの仕事(自転車のコンシェルジュ)」として、出来るだけ楽しい表現で幅広く紹介する。その事例として、


1・我々は安心・安全な自転車を販売しています
2・プロの組み立てた自転車は一味違います
3・得意技 メンテナンスとにかく 腕に自信有り

 例えば、自転車店の仕事も、一般的な自転車の販売やパンク修理だけでなく、あまり知られていないスクーターのタイヤ修理や出張修理、車椅子の修理、農耕用車の.修理についても、具体的に紹介して行く。

今後の展望・期待

  まとめとして、より理解を深めたい当組合の活動を記載する。


1・「TSマーク(TRAFFIC SAFETY交通安全)の普及活動」

 TSマーク制度は自転車を安全に利用してもらうために、自転車安全整備士が点検、整備して道路交通法上の普通自転車として確認した際に貼られるマークで、万一の事故等の際、傷害及び賠償責任の保険が付加される。


2・自転車防犯登録の普及活動

 自転車の盗難防止を目的とし、販売店で登録、防犯登録シールを自転車に貼る事で運営されている。この他、特に力を入れている活動が自転車の買い物かごのひったくり防止である。
  この対策として、自転車の買い物カゴに取り付けるひったくり防止ネットの普及推進活動を警察や地域団体と連携協力し、防止ネットの配布および普及のためのPR活動を行っている。(諏訪山良和)


『中小企業ちば』平成24年9月号に掲載 (※内容・データ等は掲載時の物です)